子育て記事

2023.06.02

子どもの気持ちを切り替え、やる気もみなぎる「言葉掛け術」

遊びに夢中になって家に帰ろうとしなかったり、ケンカですねていたり…、子どもが気持ちを切り替えてくれなくて、困った経験はありませんか? そんなときに役立つ、子どもの気持ちが変わり、次の物事へ前向きになれる「言葉掛け術」を、公認心理師の佐藤めぐみさんに教えてもらいました。


教えてくれたのは…
佐藤めぐみさん


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公認心理師。育児相談室・ポジカフェを運営。専門は0~10歳の子どもを持つ家庭向けの行動改善プログラム、育児ストレスのカウンセリング。コロナ禍で深刻化する育児ストレスを踏まえ、2020年11月にママの心のケアのための「ポジ育クラブ」を発足。英・レスター大学大学院修士、オランダ心理学会認定心理士。
HP:megumi-sato.com



我慢する力が未発達、過去の経験の影響も


大人と違って、子どもは目の前にある欲求を我慢する力がまだまだ未発達。しかも大人よりも快楽主義的なので、「自分が好きな事をやり続けたい」という気持ちが非常に強いのです。そこに、「ぐずったことで公園で長く遊べた」など、過去に自分の気持ちを優先して得をした経験が加わる、または、粘り強い・のめりこみやすいなどの、生まれ持った“気質”が影響することで、気持ちを切り替えるどころか、テコでも動いてくれなくなる可能性があります。


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大人としては想像しただけで、心が折れそうなシーンですよね。そこで、子どもの気持ちを切り替え、次の物事へ前向きになれる「言葉掛け術」をうまく活用してみてください。




子どもを次に向かせる4つのテクニックとは?

人間は、“心理的リアクタンス”といって、説得や命令をされると、抵抗したくなる心理が働きます。自分の意思で自由に決定し、行動したいという欲求があり、自分の自由が奪われた感覚に陥ると、とっさに抵抗して自由を取り戻そうとするのです。そのことを念頭に、次の4つの「言葉の掛け方」のテクニックを試してみてください。組み合わせて使うのもおすすめです。


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1、選択肢を設ける
2、気持ちをそらす
3、カウントダウンで予告
4、一旦受け入れて提示


まず1つ目は、「選択肢を設ける」こと。例えば、公園遊びを中断して帰りたいとき、帰るまでに「あと1つ遊具を選んで遊んでいいよ」「ブランコ20回かすべり台10回か、どっちにする?」など、選ばせてあげるのです。自分の意思で決められると、反発心が出にくくなるので、帰る時には案外素直に気持ちを切り替えることができます。


2つ目は、先々の楽しみを提示して、そちらに「気持ちをそらす」方法です。「早く帰れたら大好きなグラタンを作ってあげられるよ」「帰り道に黄色い車が何台通るか、数えながら帰ろうか」など、一時的に意識を別の方向にそらします。急いでいる時などに使いやすいテクニックです。大人でも仕事でストレスがたまっているときに、スイーツで癒やされて気持ちを切り替えるといったことがありませんか? 「気持ちをそらす」ことはとても有効な手段なのです。


3つ目の「カウントダウンで予告」するのも受け入れやすい方法です。子どもは、時間感覚が未熟なので、「あと少し」「もうちょっと」など、あいまいな指示では伝わりません。ひねるタイプのタイマーやデジタル時計などを用意し、「このタイマーが終わるまで」「数字が10になるまで」など分かりやすい終わりを事前に提示しておきます。エンドレスな遊びに区切りをつけたい時、朝夕の忙しい時間にキリよく終わらせたい時などに効果的です。


4つ目の「一旦受け入れて提示」するは、お菓子やおもちゃを欲しがったときにおすすめ。「このおもちゃが欲しいのね。分かった。今は買えないけれど誕生日プレゼントの候補に書いておこうね」などと声を掛け、携帯のメモ機能などに子どもに見せながら入力します。すぐに願いがかなわなくても、大人にちゃんと聞いてもらえたことで満足し、気持ちが落ち着くでしょう。



褒めを散りばめてさらにやる気をアップさせよう


一方で、やる気を持って取り組んでいること、集中してやることなどは、長所でもあり伸ばしてあげたくなるもの。そんな時も、言葉の掛け方がポイントになってきます。

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うれしいことが起こるとまたやりたくなる、これは”正の強化”と呼ばれる心理の一つです。子どもは褒めてもらえると、心からやりたい、頑張りたいという気持ちが内側から湧き出てきます。大人からの褒め言葉は、子どもにとって大きなブースター。さらなるやる気を向上させてくれるのです。


ただ注意したいのが、そこに物品によるご褒美を用いること。物品のご褒美=外的動機が内なるやる気を低減させる“アンダーマイニング効果”を引き起こします。物質依存にもなりやすいので、物品によるご褒美は「ここぞ」という最小限の場合のみにとどめておきましょう。


褒めるポイントは、100点や1等など完成形だけではなく、そこに至るまでの努力や、少しでも改善された行動などをクローズアップして。「5分頑張れてすごいね」「今度は10分も頑張れた!」などでOK。至る所に褒めを散りばめて、子どものモチベーションをアップさせてあげましょう。


大人は時間の余裕を持って接してあげて


上記の4つの言葉掛けを意識することで、子どもが気持ちを切り替えられるシーンにたくさん出合えることと思います。その時も、しっかりと褒めてあげて「切り替えた方が良かった」という学習を積ませてあげてください。


そして大前提として、子どもに気持ちを切り替えてほしい場面は、たいてい大人が時間に追われているとき。大人がまず、10分前に声を掛ける、行動するなど、時間に余裕を持って接するようにしてくださいね。



制作/あんふぁん編集部